コラム

知人に相談しにくい「住宅ローン」。私でも借りられる?

こんにちは、仙台市の中古リノベとデザイン新築のお店「GAUDI LAND(ガウディランド)」の佐々木です。

今回のテーマは住宅ローン。お金の話なので、友人や知人には相談しにくいですよね。また、審査にかけて、もし落ちたらその後の金融機関の心象が悪くなって他でも通らない、なんて聞いたりしたこともあるのでは無いでしょうか。そういうこともあって、なかなか一歩を踏み出しにくい住宅ローンですが、どんなことが審査されるのか、どんな人なら借りることができるのかがわかれば安心して前に進めます。

一つ一つ紐解いていきますので、しっかり理解してから住宅購入の検討を始めましょう!

= 目次 =
1. 住宅ローンとは
2. 借りられる人、借りられない人の判断基準と審査内容
3. 最後に


では最初に住宅ローンの概要から簡単に説明します。

【1.住宅ローンとは】

住宅ローンとは、その名の通り、住宅を買ったり改築したりするために金融機関から借りるお金のことです。
「支払いは現金一括で。」
これが言えたら苦労はないのですが、そんな人は世の中そうそういません。
そこで、住宅を購入する場合は、銀行などの金融機関からお金を借りて、売主に支払いをして購入し、引き渡しを受けてから、金融機関に毎月コツコツと返していくことになります。
もちろん、ただ貸すだけなら金融機関は破綻してしまいますので、この住宅ローンという借入には他のローンや借入と同じく「利息(お金の貸し借りの際に発生する対価)」がかかります。
とりわけこの世の中にある金融商品(ローン商品)で、一番利息の割合が少ない、つまり金利が安いのが住宅ローンと言われていますが、その分、購入するために借りる金額としてはこの「住宅」が、世の中で一番高いと言っても過言ではないため、利息の総支払い額も必然と大きくなります。
また、本来借りれるはずの人が何かが原因で借りられず、長い間住宅を買えなくなってしまう方もいます。
ですから、住宅ローンを正しく理解して適正な金額で借りる知識がなければ、この先の将来の生活にも大きく影響を及ぼしてしまいます。反対に、上手に住宅ローンを借りて住宅を購入できる人は、たくさんの利息を払っても、賃貸住宅に住んでいる時とさほど変わらない毎月の支払いで住宅を購入できたり、またその上で住宅ローンを払い終えると、その住宅が自分の資産にもなり、払った利息を大きく超える資産形成をしたことにもなります。
しっかりと住宅ローンを理解して人生にプラスの住宅購入ができるようになりましょう!

次に住宅ローンの審査基準についてです。

【2.借りられる人と借りられない人の判断基準と審査内容】
住宅ローンはどのような人が借りることができて、どんな人が審査に落ちてしまうかも知っておきましょう。まずは金融機関が審査する際に、必ず着目するポイント5つをご紹介します。

【審査で押さえておきたい5つのポイント】
(1) 健康状態
(2) 年齢・勤続年数
(3) 物件の担保評価
(4) 返済負担率
(5) 個人信用情報

(1) 健康状態
第一に「健康」かどうかというポイントをあげた途端に「それって住宅ローンと関係ある?」と突っ込まれそうですが、とてもここは住宅ローンにとっては一番大切なのでご説明します。
なぜ健康かどうか問われるのか。それは住宅ローンを利用する際には、ほとんどの金融機関で「団体信用生命保険(団信)への加入」が条件になっているからです。
団体信用生命保険とは、住宅ローンの契約者に万が一のことがあった時に、住宅ローンがゼロになる生命保険のことです。この生命保険に加入できないとなると「他の条件はクリアしても結果借りることができない」となります。
これが住宅ローンを利用するための必須条件となれば、健康な人なら問題はないですが、持病、治療中、投薬という言葉に敏感な方はドキっとするはずです。
実はこの団体信用生命保険の加入手続きは、多くの金融機関では、最初の審査では行わず、物件の契約が終わってから行う本審査の段階で行います。なので事前審査(仮審査)を行った人ならわかると思いますが、大して重要に感じないのです。契約した後の本審査で落ちてしまうとほとんどの場合は「契約を白紙に戻す」ことになり、せっかく気に入った物件が買えない、ということになります。

(2) 年齢・勤続年数
次に年齢・勤続年数。まずは「年齢」からです。まさか18歳で住宅を購入しようという強者はなかなかいないのが現実ですが、40歳を超えてから住宅を購入する人や、60歳を迎えて、今の家を売って得た利益と、不足分を住宅ローンで借りて住み替えたいという方や、今の家を大規模リフォームやリノベーションしたいが、現金は老後に残しておきたいので、工事費用を住宅ローンで借りたい、という方は年齢がポイントです。年齢は「①完済時年齢」と「②借入時年齢」に分かれ、①の完済時年齢は、80歳までに返し終えることができる年数で設定されているかが着目するべきところです。そう考えると35年ローンを組むには最低でも45歳までに、ということになりますね。②の借入時年齢は20歳以上という金融機関がほとんどです。ただし20歳以上であれば借りることができるという話ではなく、借りられる条件の1つをクリアしたに過ぎません。
ここで関連してくるのが「勤続年数」です。あなたが知人に100万円というお金を貸さなければならず、それを10年間で毎月少しずつ回収すると考えた場合、次の2人のどちらに貸しますか?また、どちらに貸したくないですか?

A. 同じ会社に長く働いていて毎月一定の収入を得ている方
B. アルバイトや派遣社員として勤め先を転々としている方

どうでしょうか。答えは明白で、Aの人の方が毎月しっかり返してくれそうですよね?金融機関も同じことを考えています。安定した収入を得られる方なら毎月着実に返してくれるだろう、働き始めた人はこの先、その会社で働き続けることができるのかもわからない、といったイメージですね。
すると、先ほどの20歳以上だからといって借りれるかというと、それだけではなく、少なくとも1年以上は働いていて、何度も転職をしていない人の方が安心というわけです。
もちろん明確に1年以上でなければならない、3回以上転職をした、などの条件はありません。11ヶ月働いた方であれば月収の平均額もおおよそ把握できるため、逆算して年間ではこれくらいの収入になる、と考慮してくれる場合もあります。
会社員以外で言えば、自営業や経営者・会社役員については3期以上の確定申告書などの写しを求められることが多いです。実態のある会社なのか(ペーパーカンパニーではないか)、しっかりと売上(収入)があって事業が継続できているか、倒産の可能性が高くないか、チェックされていることになります。

(3) 物件の担保評価
3番目は「物件の担保評価」です。「難しい言葉使わないでわかりやすく説明してよ」といった声が聞こえてきそうなので、簡単に説明します。
金融機関が住宅ローンとしてお金を貸し出すときには、借りた人が返済できなくなった場合に、なんとか貸したお金を回収できるよう不動産などを「担保(物品などを保証として差し出させること)」にとります。どうしても返せなくなった場合はその不動産を競売にかけてでも売って資金を回収するということですね。となると、その不動産が全く価値の無いものだと金融機関は困るわけです。今は価値があっても10年後、20年後にどれほどの価値があるのか、それに加えて住宅ローンとして「借りる金額」と「物件としての価値」が見合っているかを見極めるのが担保評価です。
みなさんは次の2つのうち、50年後の価値が高そうなのはどちらだと思いますか?

A. 利便性の悪い、山奥に500万円の土地を購入して4,500万円の建物を建てた人
B. 駅近など、利便性の良い都心部で2,500万円の土地を購入して2,500万円の建物を建てた人

いかがでしょうか。なんとなくわかっている人もいるかもしれませんが、「土地は財産」なんて言葉がある通り、土地は価値が下がりにくいものとされています。なぜなら「消費しない」から。一方建物は「経年劣化」によって年々その価値は落ちていくものとされています。であるならば、AもBも総額5,000万円の費用がかかっていますが、50年後は大きな環境の変化がない限りはおそらくBの方が価値という点では高く見積もることができます。
不動産ではこういった観点もしっかり考慮して購入することが大切です。もちろん土地にだけ多額を費やして建物を安くしたとしても、その反動でメンテナンスや修理にお金がかかる、長く住めない建物であっては意味がありませんので、そのバランスも重要です。

(4) 返済負担率
4番目は「返済負担(返済比)率」です。そろそろワケのわからない漢字の組み合わせは嫌になってきた頃かもしれませんが、もうちょっと我慢しましょう。
返済負担率はわかりやすく言えば「年収に占める年間のローン返済額の割合」のことです。例えば年収400万円の人が年間100万円のローン返済をするなら、返済負担率は25%(1/4)ということになります。住宅ローンの場合は、一般的に返済負担率が25〜30%以内であれば無理なく返済できる範囲だと言われています。そして多くの金融機関では35%を上限として審査しています。(中には年収400万円未満が30%まで、年収400万円以上が35%までとしている金融機関もあるので注意)
これから住宅購入のために利用する予定の借入金額が、ご自身の年収や世帯年収に対して、どれほどの割合を占めるのか、チェックしてみましょう。年収とはサラリーマン(給与所得)であれば、総額であって、手取り額の合計ではないので間違えないようにしましょう。
ただ、ここで一点注意が必要です。
「返済負担率を計算する場合に使用されるのは、住宅ローンの返済額だけではなく、すべての借入にかかる返済額」だということです。どういうことかと言うと、例えば次の2人はどちらも年収400万円です。返済負担率はどうなるでしょうか。

A. 住宅ローンの返済予定額は年間100万円。他に借入は無し。
B. 住宅ローンの返済予定額は年間100万円。他に車のローンが月3万円、奨学金が月2万円ある。

Aは他に借入がないため、返済負担率はそのまま25%となります。一方Bはというと、車や奨学金のローンがあり、住宅ローンも含めると年間の返済予定総額は172万円です。この場合の返済負担率は46%になってしまいます。こうなってしまうと金融機関の判断は返済負担率でアウトとなってしまいます。割と簡単に組めてしまう車のローンなどはここで大きな負担になってしまうので、住宅を購入することを検討するのであれば、親に借りてでも他のローンを減らすのがベストです。ただし、間違っても消費者金融やカードローンなどで借りて車のローンを返済するなどしないようにしましょう。この後紹介する「個人信用情報」に登録されない、身内や知人からでなければ意味がなくなってしまいます。
また、他のローンがあって、返済負担率がオーバーしそう、もしくは月々の支払いが厳しくなるようであれば「おまとめローン」を利用するのも一つの手です。返済負担率を減らすために、他のローンの金額分も住宅ローンに上乗せして借り、そこから一括で他のローンの支払いを行い、借入を無くすというプランです。これについては取り扱っている金融機関とそうでない金融機関があるので、不動産会社の担当者に相談しても良いでしょう。

(5) 個人信用情報
もう難しいからやめてくれ、と言われるのを覚悟の上で言います。これが最後なので、諦めて覚えてください。非常に大切なポイントで、これがあなたに住宅ローンを貸すかどうかの最大の判断基準とも言える部分なのです。
「個人信用情報」とは、クレジットカードやリボ払い、カードローン、自動車ローンなどの各種の借入の「返済」に関する情報のことです。住宅ローンの審査では、延滞や債務整理など「支払いが遅れた」履歴がないかをチェックします。一般的に過去5年間の履歴を遡ってチェックされていると言われます。
「え、遅れたことあるよ」という方も多いのではないでしょうか。コンビニ払いなどを活用していると支払いが遅れることも珍しくないですし、引き落としでも口座に必要な金額が入っていなかった、といったケースもあるでしょう。
ですが、多額を貸し出す金融機関としてはここが最大のチェックポイントなのです。あなたなら次の2人のどちらにお金を貸せますか?

A. 知人の誰からも「あいつは必ず約束は守る人だよ。この日までに返すって言われていつもその日までに貸したものを返してくれたんだ」と言われる人
B. 知人の誰に聞いても「ああ、あの人ね。貸したものも借りパク状態で、期日も守らないよ。貸すならもう返ってこないと思って貸してるよ」と言われる人

答えは明白でしょう。
つまりは「信用」があるかないかです。金融機関も実際は「人の集まり」。人が人を信用するにはそれなりの証拠が必要ということです。初めて会った人に言葉だけで「絶対に約束は守るよ」と言われても説得力に欠けますよね。だからこそこうした「信用情報」をはじめ、年収・勤務先・勤続年数など、たくさんの情報を集めて審査するわけです。住宅ローン審査に落ちたと金融機関を叩く人もいますが、何かしらで貸すにはまだ足りない、と判断されているわけなので、自分の胸に手を当てて、客観的に自分を評価しなければなりません。その上で改善できるものはするといった努力も必要になります。
ここで少し補足ですが、この信用情報の審査についてはブラックボックス的な部分も多いので断定はできませんが、過去5年以内に支払いが遅れたことがあるからと言って全くダメということではありません。支払いの遅れが過去に何度もあったり、数ヶ月にわたり支払いが滞った場合などは借入が難しくなりますが、それでも金融機関によってはその審査基準にはバラつきがあります。そして、この信用情報の審査をする上で一番大切なこと、それは「金融機関に対し、虚偽や隠蔽をしない」ということです。この仕事をしていると稀にいらっしゃいますが、「この借り入れは妻(夫)には言えないから」、「言ったら印象が悪くなる」といった理由から借り入れの存在自体や、支払いが遅れている(遅れた)事実を隠される方もいます。
実はこれが一番「信用を落とす行為」なんです。陰口を叩く人より正直に何でも言える人ほど信用されるのは皆さんも身に覚えがあるでしょう。金融機関も同じです。これをしっかり理解して相談するようにしましょう。
もし過去の信用情報に不安な方は「CIC」という機関で自身の信用情報を照会することができます。実はこのCICという機関にクレジットカードなどの情報が登録されるというシステムになっているからです。クレジットカードや携帯電話の契約の際の細かな注意書きや重要事項、利用規約などを細部まで読み込む方は少ないと思いますが、その中に、このCICに情報を登録しますよ、といったことが記載されていて、みなさんは契約書に署名することで自動的に登録されていることを知らずに生活しています。他にも「JICC」という機関もあります。情報の照会は有料ではありますが、情報を事前に取得して、問題がないか、調べることで今後住宅購入に向けて改善したり、むやみやたらに審査をする必要もなくなります。こちらもいろいろなサイトで紹介されていますので、確認してみると良いと思います。

【3. 最後に】
いかがでしたでしょうか。
お金の話は、貯金額を知人に話すことができないように、プライベートな問題なので、なかなか相談できずにいる人が多いと思います。
かといって金融機関に直接相談するのも印象が悪くならないか、気が引ける・・・。そんな方はまずは不動産会社や住宅会社に相談してみると良いでしょう。よほどの新人ではない限りはそれなりに住宅ローンの知識がありますし、何よりも赤の他人で、今後会うことがないかもしれない人かもしれません(笑)そんな人の方が話しやすいこともあります。上手に「人」を使うことも大切です。
住宅ローンは、借りられる金額や年数、借りられる住宅以外のモノなど、知っておきたいことが山ほどあります。が、それを全部話し出すと長くなりますし、それ以上にこの記事を書く私の指と目が持ちません(笑)。それはまた次の機会で説明したいと思います!
これを機に、正しい住宅ローン知識で上手に住宅購入を検討しましょう!

ではまた!

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