コラム

意外と知らない? 年代別に読み解く日本のマンショントレンド

早いものでもう3月にさしかかりました。
今年はまだ不思議と花粉に悩まされていない(笑)ガウディランド営業の斎藤です。

物件探しをするときに築年数、気になりますよね。
なんとなく古い物件より新しいほうがいいのでは?と思う方もいらっしゃるかと思いますが、単純に建物の古さだけではかるのではなく、建てられた年代毎に間取りや設備に特徴があり、それぞれの魅力があるものです。

中古を買ってリノベーションの中古の部分、あなたはどんなストーリーのあるマンションを選びたいですか?

今回は建てられた年代別に日本のマンショントレンドとその特徴をご紹介していきます。

―目次――――――――
1,はじめに

2,1970年代以前
3,1981〜1987年
4,1988〜1993年
5,1994〜1999年
6,2000〜2004年
7,2004〜2009年
8,2010年〜
9,まとめ
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1,はじめに
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日本で初めての分譲マンション「宮益坂ビルディング」は1953年に誕生しました。
低層の建物が多い中、11階建てのこのマンションは当時「天国の百万円アパート」と呼ばれていました。
それから約70年が経ち、その間にマンションは時代のニーズへ対応し続け、形状や質、設備を向上させてきました。

 
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2,1970年代以前
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〜時代背景〜
戦後復興を続ける日本。
1953年に戦前の経済水準を上回り、1956年には経済白書でもはや戦後ではないと宣言されます。
その後高度成長を続けるなか住宅不足が問題になり、多摩ニュータウンを始めとする郊外型の大型住宅地が開発されました。

当時のマンションは量より質重視で、住民のニーズを汲み取って対応することは難しかったといわれています。

〜特徴〜
・LDKという概念がない
下記のようなセンターリビング(中央にリビング、南側に洋室2つ等)の間取りが多く、1つ1つの部屋が小さいことが特徴でした。
今のようにLDKという概念はなく、食事を作る場所K(キッチン)と食事をする場所(ダイニング)と区分していました。

『マイホームは価値ある中古マンションを買いなさい!』より

・天井が低い(高さ220〜230cmが主流)

・エレベーターがない物件が多い
1880年代には日本にエレベーターが輸入されていましたが、当時は非常に高価で珍しい設備でした。
その為、1970年代に分譲された物件の多くがエレベーターを設置しなくても良い低層階のマンションになっています。

・外壁は吹付塗装が多い
現在ではタイル張りの外壁が主流だが、当時の主流は吹付け塗装でした。

 
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3,1981〜1987年
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〜時代背景〜
経済成長が続く日本。
1983年にインターネットが誕生し、現在のような経済システムへ以降していきます。
マンションは質より量の時代から、量より質へと移り変わっていく過渡期になります。
経済成長でも欧米に追いつく意識が強く、住宅でもその憧れを表現したものが多く普及しました。

この時代の大きなポイントが耐震基準の改正です。
1978年の宮城県沖地震発生をうけて、1981年6月に耐震基準が改正されました。
それまでは「震度5程度の地震で倒壊しないこと」が基準にされていましたが、改正で「震度6〜7程度の地震で倒壊しないこと」に強化されました。
ちなみに改正以前の建物を旧耐震、改正以後の物件を新耐震といいます。

〜特徴〜
・住環境を意識した間取りが普及(例:センターイン型)
それまで部屋数を重要視されていましたが、この頃から住空間を意識した住みやすい間取りが増えてきます。
代表的なのが下記のようなセンターイン型の間取りで、玄関を住戸の真ん中に配置することで南と北側両方のバルコニーを実現しました。

『マイホームは価値ある中古マンションを買いなさい!』より

寝室側とリビング側を分けられるので、従来よりもより機能的といえます。
現在でも人気の高い間取りです。

・ピロティの禁止
耐震基準の強化を受け、1階部分を柱のみで支えてつくる広い中庭「ピロティ」の設計は禁止になりました。
その後はエントランススペースを広く取ることで開放感を演出し、バブル経済の後押しを受けてより高級感のあるマンションが増えていきます。

 
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4,1988〜1993年
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〜時代背景〜
日本は1986年頃からバブル景気と呼ばれる時代に差しかかります。
株価上昇に伴い地価も上昇を続け、物件価格も大幅に上昇しました。
このような自体背景から、この時代はより量より質を意識した贅を尽くした高級マンションが多く建設されています。
特徴を見ていきましょう。

〜特徴〜
・床材はカーペットが主流
絨毯を彷彿とさせるカーペットを採用するマンションが主流になります。
現在の床材はフローリングが主流ですが、当時のフローリングはまだまだ質が低く、下階に音が伝わりやすいものだったのです。
そのため当時はクッション性・防音性が高く、騒音対策の一環としてカーペットを主流にしていました。
現在も管理規約でカーペット以外への床材変更を禁止しているマンションもありますので、リノベーションをお考えの方は施工前に管理規約をよく確認しましょう!

・リビングという概念が生まれた
それまでと異なり住宅は安らぐ場所という認識がより強くなります。
それによりL(リビング)という文化が生まれました。

・1418〜1620サイズの浴室が普及
同様に浴室もただお湯に浸かる場所ではなく、リラックスできる空間というニーズが強くなり、浴室・浴槽が広くなりました。
現在の一般的なマンションと同じサイズ感ですね。


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5,1994〜1999年
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〜時代背景〜
この頃日本はバブルが崩壊し、生活環境が一変します。
それまでの住宅の広さや高級思考はあまり重要視されなくなり、マンション価格も下落。
標準仕様の設備でお部屋もコンパクトなものが増えます。

その他女性の社会進出の増加に伴い、マンションの利便性を高める設備を追求する志向が強くなり、さらに1995年阪神・淡路大震災を契機に、免震構造などの新技術が発達していきました。

〜特徴〜
・床暖房の普及
エアコンが主流だったそれまでと異なり、風がなくホコリを巻き上げない床暖房を設置するマンションが増加しました。
当時シックハウス症候群という言葉が使われ始め、厚生省がホルムアルデヒドの数値に関するガイドラインを出したことで、住宅空間の健康志向が強まったためです。

・設備の充実(浴室乾燥機、追い焚き機能、シャンプードレッサー等)
この頃共働きの夫婦が増えたことで、より効率的に洗濯を行える浴室乾燥等の設備が普及します。
これによって日照時間にとらわれず洗濯ができるようになりました。

・アウトフレーム工法により室内有効面積が増える
アウトフレーム工法:下記のような価格を抑えるために部屋の広さを変えず、室内の有効面積を増やすために柱や梁を外にだす公法を指します。
室内に出っ張りがないので家具も置きやすく、現在も人気があります。

『マイホームは価値ある中古マンションを買いなさい!』より

・逆梁ハイサッシでより開放感を
逆梁ハイサッシ:通常床スラブの下側に位置する梁を下記のようにバルコニーの外に出し、床スラブの上でつる形にすることでサッシを高くすることをいいます。
採光がよりよくなり開放感がupしますね!

『マイホームは価値ある中古マンションを買いなさい!』より

 
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6,2000〜2004年
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〜時代背景〜
この頃日本は携帯電話の普及が進み、世の中で起きたニュース等はすぐに手元で確認できるようになります。
共働き夫婦は更に増加し、防犯への意識も高まってきます。
また、少子高齢化が進みバリアフリーに対する考え方が普及していきました。

〜特徴〜
・セキュリティの強化
それまで防犯カメラ、オートロックが主流でしたが、この頃からダブルロック等を搭載するマンションが増加します。
ダブルロックとは、仮にエントランスのオートロックをすり抜けても、エレベーターに追加のオートロックシステムを設けることで住居空間への侵入を防止できるものです。
築浅マンションに住んでいるご友人等いらっしゃる方は、2段階セキュリティに驚いたことがあるのではないでしょうか。

・バリアフリー
2006年バリアフリー法施工を皮切りに本格化していきます。
マンション共用部ではエントランスにスローブ、階段に手すりを設置する等。
住戸内もできるだけ段差をなくすフラットな設計が多くなっていきました。

 
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7,2005〜2009年
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〜時代背景〜
2008年に発生したリーマン・ショックに伴い世界的な不況に突入し、日本でも株価が大暴落します。
土地の価格が高い時期に取得したマンションの販売価格と、不況により収入の上がらない購入者の間で大きなギャップが生じました。

〜特徴〜
・ペット飼育可が当たり前に
この頃から管理規約でもペット飼育可をうたうマンションが増加します。
戸建てだけでなく、マンションでもペットと一緒に暮らすというライフスタイルがメジャーになりました。

・機械式駐車場が主流に
マンション用地が少なくなっていくに伴い、スペースを有効活用できる機械式駐車場が主流になります。
一方、機械式駐車場には車の出し入れに時間がかかる、維持費がかかるというデメリットもあります。

 
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8,2010年〜
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マンション建設に適する土地が徐々に少なくなり、駅前の再開発などに不動産業者が参画し、タワーマンションを建設する傾向が強まっていきます。
またマンションの床スラブの厚さは20㎝以上が標準となり、マンションのデメリットの一つであった騒音トラブルもより軽減されています。

〜特徴〜
・2011年東日本大震災の影響から「災害に強いマンション」を売りにしたものが増加
(例:備蓄倉庫、簡易トイレ、浄水装置の設置)

・コンシェルジュサービス、ゲストルーム等共有施設が充実
居住者と来訪者へのホスピタリティを重視したよりホテルライクな生活のできるマンションが増えています。

・ペアガラスを多く採用
ペアガラスとは、2枚のガラスを使用した窓のことです。
従来の単板ガラスと異なり、ガラス+空気+ガラスで1つの窓を形成していることで、高い遮熱性を発揮します。結露もしにくく近年人気が高まっています。

 
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9,まとめ
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いかがでしたでしょうか。

マンションは建設された時代背景を反映していることがおわかり頂けたかと思います。
これからマンションを探すときには、その当時に思いを馳せながら見学してみるのも一つ楽しいかもしれません。

中古マンションリノベーションは、新築よりも安く中古物件の良いところを活かしつつ、自分好みに間取りやデザインを変えられるマイホームの選択肢の1つです!
当時の人々の思いの詰まったマンションを自分色に変えて再生し、オリジナルな生活を送る。なんだかとっても夢があって素敵ですよね。

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