住宅ローン、借りられる金額と払える金額。
- 2022.09.04
- 不動産売買
こんにちは、仙台市の中古リノベとデザイン新築のお店「GAUDI LAND(ガウディランド)」の佐々木です。
前回に引き続き、今回も住宅ローンのお話、第二弾です。前回は住宅ローンの概要や審査内容についてお話してきましたが、今回は、審査までに大切なことは全て抑えて理解したよ、という方に向けての、次のステップに入ります。
= 目次 =
1. 住宅ローン、借りられる金額は?
2. 払える金額より払い続けられる金額
3. 住宅ローンで借りられるのは家だけ?
4. 最後に
【1.住宅ローン、借りられる金額は?】
住宅ローンを借りるための前提は前回勉強しましたね。もし、まだ審査内容などを理解できていない方は「知人には相談しにくい住宅ローン。私でも借りられる?」を先にご覧ください。
住宅ローンを借りるには年収などの条件がありますが、金融機関ではその年収や勤務先などをはじめとする様々な情報をその人自身の「属性」と呼びます。同じ年収の方でも借りられる金額が異なるのは、この「属性」が審査に大きく影響する部分だからです。
例えば、年収が1,000万円あるけども預金が100万円しかない人と、年収400万円でも預金が800万円ある人では印象が大きく違いますよね? きっと年収1,000万円の人の方が借りられる金額は多そうだけど、少し生活水準が高くて金融機関としてはゆとりの無さが心配になりますよね。逆に年収400万円の方は、節制しながら預金が出来ているイメージがあって、しっかりと余裕を持って返済してくれそうですよね。
借りられる額はこういった「属性」でも変化します。そのため、今回は、わかりやすくするために、一般的な「年収」だけに焦点をあてて、他の要素は考慮せずに説明していきます。
借りられる上限額の出し方は様々な計算方法がありますが、
一番ポピュラーで簡単なのが、
計算式1【借りられる額≒年収の7〜8倍】
です。これなら小学生でも計算できますね。
ただ、こちらは結構ざっくりとした計算方法になってしまいます。
少しテクニカルな方法もあります。それが、、、
計算式2【借りられる額≒年収×35%(30%)÷12ヶ月÷(借入額100万円当たりの月々の返済額※1)×100万円】
という計算方法です。(※1金利1.00%の場合は2,822円)
計算が得意な方はここで「ん?金額がずいぶんと違うのでは?」と思った方もいるのでは?
仮に年収400万円ですと計算式1の場合は「2,800万円〜3,200万円」、計算式2「4,100万円」となります。
実は「計算式1」と「計算式2」では考え方が違っていて、計算式1は『現実的に借入できる額』、計算式2は『数字上の借入額の上限』になります。
計算式2で出てくる『35%(30%)』という数字は前回のコラムでも説明した「返済負担率」です。35%は上限MAXですので、ここまで借りてしまうと生活は火の車必至です(笑)
例えば年収400万円の方の借りられる額は、計算式2では4,100万円。借入額4,100万円の35年返済の毎月返済額は115,737円(金利1.00%)となります。
年収400万円の方の月の手取りは、夫婦2人と子供1人の家庭で月25万円前後。1ヶ月の生活費を想定すると、
家賃 7万円
食費・日用雑貨 5万円
水道・光熱費 1万円
通信費 2万円
保険料 3万円
教育費・養育費 2万円
趣味・娯楽・交際費 1万円
その他 3万円
貯蓄 1万円
となります。既に「家賃部分」が不足していますので、計算式2は現実的ではないことがわかります。
もし返済負担率を一般的な25%とするならば、借入額は約2,950万円、月々の支払いは81,862円ほどです。
これならどこかでバランスを取れば住宅ローンは無理なく支払えそうです。
金融機関ではこういった「現実的な数字」と「上限値」というものをしっかり考慮して決めます。一般的にはまずその借入額が現実的な数字かどうか。その他に、審査のプラスの要素となるような勤務先の情報や預金額、両親の財産など、安心材料が多い方には借入額が増えるイメージで良いでしょう。上限値まで借りようとしてもなかなか借りられない場合が多いので、物件金額を考える時にはこのことを念頭において検討するようにしましょう。
【2. 払える金額より払い続けられる金額】
次に「あなたが払う金額」についてです。章のタイトル「払える金額より払い続けられる金額」の話をする前に、少し補足です。
わたしたちが生活するには「自ら選択するモノ(変動)」と「最低限必要なモノ(固定)」があります。家賃や保険、外食、娯楽などは選び方で大きく金額が変わりそうですが、食費(外食を除く)、水道・光熱費・通信量、教育費などは最低限必要なものとなり、安く抑えたくても限界があります。また、昨今のハイパーインフレにより物価高が始まっている燃料、原材料などは、生活を圧迫する要因となってしまっています。仮に年収400万円の方にとっての食料品の値上がりと、年収1,000万円の方の食料品の値上がりは家庭に与える打撃は大きく異なります。なぜなら「モノの値段はどんな人が買っても変わらない」からです。
では話を本題に戻して、「払い続けられる金額」とは何か。
先ほどの話からわかるのは、社会情勢をしっかり予測して、今だけの計画にならないようにしなければならないということです。
当時住宅ローンを利用して夢のマイホームを購入した方が、収入が上がらないのに物価高の影響で生活が圧迫されて生活苦に陥ってしまう方もこれから増えてくるかもしれません。そうならないように、これから住宅購入を検討される方は「環境の変化に対応できる住宅ローン返済」を計画しなくてはなりません。
どういうことかというと、何も物価高の話だけではありません。
年収が上がると思って少し高めにローンを組んだが思ったように上がらない、子供が増えて生活費が増えた、子育てが落ち着いたら妻がパートで働く予定も雇い先が見つからない、などといった『不測の事態に耐えうる支払い計画を組む必要性がある』ということです。
現在は夫婦で住宅ローンを組む方も多いですが、果たして二人の収入はずっと今と同じかそれ以上でしょうか。もしかしたら「子供の体が弱く、学校をよく休んで、その度に仕事を休まなければならなくなった」、「ご主人が転勤や異動になり、支出が増えた」、「勤めている会社が残業を減らす体制になり、収入が減った」など、実はこういった事情で家を泣く泣く手放さなければならない家庭は世の中にたくさんいます。
住宅ローンを利用して住宅購入するならば、その住宅ローン(予算計画)の返済が第一に考えることであり、有名メーカーの注文住宅がいいな、とか、このエリアで新築じゃなきゃ嫌だ、といった願望や欲の優先順位はその次に来なければなりません。
この物件なら、なんとか借りられる金額だし、頑張れば払えるから買おうと買ってしまうのは、時期尚早と言えます。
ではどう考えていかなければならないか。
前の章で説明した「借りられる額」は金融機関があなたをどう評価するかであるのに対し、実際に住宅ローンを借りた後は、何があっても払い続けなければなりません。
このことを深く理解して払い続けられる額を借りましょう。金利なども安ければ良いというわけではなく、変動金利はこれから先、上昇するリスクもあり、過去約30年にわたって上がらなかったかもしれませんが、インフレに伴い、上昇する未来が待っているかもしれません。そのために、変動タイプ、固定タイプの両方をしっかり勉強して検討することも大切です。
誰も詳しく教えてくれなかったから、知人がそうしていたから、という言い訳は、住宅ローンを組んでからは全く意味を持たず、あくまで自分の責任になるので注意しましょう。そしてその予算計画で収まる住宅の購入の仕方を購入しましょう。中古住宅、新築住宅、マンション、戸建、リフォーム、リノベーション、立地といった購入の仕方は予算があってはじめて選べるものです。
【3. 住宅ローンで借りられるのは家だけ?】
では借りられる金額と払い続けられる金額を勉強したところで、雑学として「住宅ローンで借りられるモノ」をご紹介します。
場合によってはこの知識が予算計画に与える影響も大きいかもしれませんので、覚えておくと良いと思います。
住宅ローンはその名の通り、住宅を購入するためのローンですので、住宅に関係のない教育費などはもちろん借りることはできません。一般的に住宅ローンで借りることができる対象と、金融機関や金額次第では住宅購入と共に借りられる対象を以下に挙げます。
-住宅ローンで借りられる住宅の種類-
・新築住宅を建築するために購入する土地代金
・新築注文住宅の建築に係る費用(設計費や確認申請費、太陽光発電などを含む)
・新築建売住宅の購入に係る費用(仲介手数料などを含む)
・新築と共に必要な外構工事代金(フェンスや駐車場、ポスト、植栽などのお庭の工事)
・新築マンションの購入費用
・中古住宅(戸建・マンション)の購入費用
・中古住宅購入と共に行うリフォームやリノベーション工事費用(外構工事を含む)
・自宅の増・改築(大規模リフォーム・リノベーション)の工事費用(設計費や確認申請費、太陽光発電などを含む)※1
・上記の建築や購入に係る諸費用 ※2
※1小規模なリフォーム工事では利用不可(リフォームローンの利用が可能)
※2印紙代を除く
-金融機関や金額次第では住宅購入と共に借りられる対象-
・置き家具(ソファやダイニングテーブル、ベッドなど)
・エアコンなどの家電製品の購入費用(家電量販店で購入する場合など)
・車の購入費用
住宅ローンは住宅を購入するのはもちろん、その際に必要となる外構工事や家具代などもカバーして借りることもできたりしますが、量販店でのエアコン購入や置き家具の購入費用については難色を示される場合もあります。こういった場合は自分で購入先に直接買いに行くのではなく、建築会社を通して購入してもらい、建築工事の中で設置してもらうことで借りることが可能になる場合があります。建築会社に依頼する場合は中間マージンが発生して高くなることもありますが、提携割引がきいて安くなることもありますので、気になる方は建築会社へ事前に相談してみましょう。
また、車の購入費を住宅購入と同時に住宅ローンで借りられる金融機関もあったりしますが、これは極めて稀でしょう。
どちらかといえば既に利用している車のローンを、これから購入する住宅ローンに上乗せしてしまう「おまとめローン」があります。こちらは車の他にも教育費やブライダルローン、奨学金、カードローンなど幅広くまとめられる可能性があります。ただし消費者金融からの借入や親族からの借入などはおまとめローンの対象にはなりません。
また、おまとめローンは金利の高いローンを、一番金利が安い住宅ローンに組み替えることで支払いは楽にはなるといったメリットはありますが、30年や35年払いといった住宅ローンに合わせて車のローンなども35年払いになる、ということですので、できるのであれば預金で完済してしまい、ローンが無い状態で審査する、審査の段顔で完済の旨を金融機関へ伝えておく、などがベストでしょう。
自宅は既に所有している人には「リフォーム・リノベーション」の際には注意が必要です。小規模な工事では、住宅ローン特有の抵当権設定にかかる費用の方が高くつく場合もあり、リフォームローンに限定される場合もあります。また、リノベーションの場合でも既に住宅ローンを組んでいて残債があり、抵当権が設定されたままや、残債が無くても土地・建物の担保評価が低い場合は、どれだけ大規模なリフォームやリノベーションでも住宅ローンが組めない可能性があります。
残債がある人は、こういった場合でも「借り換え」をすることで新たに工事する部分も住宅ローンを利用できる場合があります。借り換えは金融機関を変えることが必須になりますが、それにより金利が今までより安い住宅ローンプランに切り替えるチャンスにもなるので、ぜひ検討中の方は住宅会社へ相談してみましょう。
【4. 最後に】
前回、今回と住宅ローンについてお話しして来ましたが、正直お伝えしきれない細かな部分もまだまだあります。ですが、お伝えしてきた内容をおおよそ理解できれば住宅購入に向けての基礎知識は備わったと言っても過言ではありません。
実際に住宅ローンはケースバイケースという言葉が当てはまるため、全てを理解してから進めるのでは非効率的です。基礎知識を持った上で、審査のために住宅会社と相談し、適切なプランを検討する。そしておおよその予算がかたまったら事前審査へとコマを進めていく、これがベストな進め方でしょう。
たくさんの金融機関や住宅ローン商品があるこの世の中で、誰にとっても一番な金融機関は存在しません。人それぞれ最適な金融機関や住宅ローン商品があるはずです。住宅会社を選ぶ際も金融機関を決めうちしない住宅会社なら、あなたの住宅購入を支えてくれる提案を色々と用意してくれるでしょう。ぜひ自分だけで抱え込まずに、住宅会社の担当者に相談しながら、上手な借り方、返し方を探ってみてください!くどいようですが、大事なので最後にまた言いますが、良い住宅を求める前に適切な住宅ローンの計画です(笑)検討を祈ります!!
ではまた!