変動金利・固定金利とそのメンテナンス方法
- 2022.10.03
- 不動産売買
みなさんこんにちは。ガウディランド鈴木です。
住宅ローンを借りるとき、固定金利と変動金利のどちらを選べば良いのでしょうか?
これって住宅ローンを借りるとき、どの金融機関を利用するのかと同じくらい悩みますよね。
しかしこれは現時点ではどちらが正解!とは一概には言えません。
どちらの方が良かったと答え合わせできるのはずっと先のことです。
そこで今回は「金利タイプの選び方のポイント、変動金利・固定金利の違い、金利のメンテナンス方法」についてお話ししていきます。
―目次―――――――――――――
1、金利タイプで悩まないための心得
2、変動金利のメリット・デメリット
3、変動金利はこんな人に向いている
4、固定金利のメリット・デメリット
5、固定金利はこんな人に向いている
6、変動金利と固定金利のメンテナンス方法の違い
7、まとめ
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1、金利タイプで悩まないための心得
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まずは金利タイプで悩まない為の心得を3つご紹介します。
①家計を圧迫するほど多くの金額を借りない
②変動金利も固定金利も先のことは分からないと自覚する
③変動金利・固定金利の特徴を理解した上で選択する
1つずつ詳しく見ていきましょう。
①家計を圧迫するほど多くの金額を借りない
家を買った後、楽しくゆとりのある生活を送るためには、
金利だけにこだわるのではなくそもそも必要以上の金額を借りないことが大切です。
これは変動金利でも固定金利でもいえることですね。
月々の返済額が生活費を圧迫しないか、ローンの返済比率やご家庭の状況を合わせて検討しましょう。
※返済比率とは、年間ローン返済額が年収に占める割合のことです。
例:年収400万円の人が年間120万円返済している場合、返済比率は30%になります。
しかし、あくまでも返済比率は「年間ローン返済額が年収に占める割合」に過ぎません。
ご家族がどこにどのくらいのお金をかけたい、マイホームにどのくらいお金をかけられるのかは別途シュミレーションする必要があります。(年に○回は家族旅行に行きたい、子供の習い事にはお金をかけたい等・・・)
ガウディランドではお打ち合わせの際に住宅ローンシュミレーションを行っておりますが、この際せっかくだから家計全体を見直したい!というご希望のある方には、ファイナンシャルプランナーによるライフプラン相談もご紹介可能です。
②変動金利も固定金利も先のことは分からないと自覚する
将来金利が上がるのか下がるのか、これは誰も答えはわかりません。
ですので必要以上に金利タイプで悩む必要もなければ、ネットの「変動は危険」などの偏った意見を鵜呑みにする必要もありません。
必ず変動・固定金利ともにメリット・デメリットはありますので、しっかりと違いを把握した上で「ご自身達にはどちらがより合っているのか」で選択しましょう。
また、「住宅ローンは借りたら終わり」ではありません。
金利の動向がわからないのであれば、将来の金利変動に対応できるようメンテナンスやリスクヘッジをすることが大切です。
このメンテナンス・リスクヘッジについては後ほど詳しくお話しします。
→変動金利と固定金利のメンテナンス方法の違いへ
③変動金利・固定金利の特徴を理解した上で選択する
次のセクションでそれぞれの特徴を詳しくご紹介していきますので、両方ともご覧いただいて上で選択しましょう。
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2、変動金利のメリット・デメリット
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メリット
①固定金利より金利が低い
②元金(借りた分のお金)が早く減る
③月々の返済額を抑えられる
住宅ローンの月々の返済額は「元金+利息」で構成されています。
住宅ローンのような高額融資では「元金分をいかに早く減らすか」がポイントです。
元金の減りが早ければ銀行に払う利息も減り、うまくいけば結果として総返済額を抑えられます。
デメリット
①金利が上昇する可能性がある
②返済計画が立てにくい
・一般的な変動金利(元利均等返済)では半年毎に「金利の見直し」がありますが、「返済額の見直しは5年毎」というルールがあります。
もし半年ごとに金利が変わった場合は、返済額の利息と元金の割合で調整します。
仮に金利が上がったとすると、利息の割合が増えて元金の割合が減ります。
一部金融機関や元金均等返済は5年ルールが適用されませんので、その場合金利見直しと同時に返済額も見直しとなります。
・先述の通り、元利均等返済の場合5年ごとに返済額が見直されます。
その際、新しい金利は「どんなに金利が上がっても、それまでの1.25倍まで」というルールもあります。
その為、例えば1〜5年目までの返済額が月々8万円だった場合、6〜10年目はどんなに金利が上がっても10万円が返済額の上限になります。
③未払い利息が発生する可能性がある
どんなに金利が上昇しても5年間は一定で、かつ6年目からも1.25倍までしか上がらないということは、金利が急上昇すると利息が返済額をオーバーする事態が発生します。
このオーバーした利息が未払い利息です。
未払い利息が発生すると元金が全く減りません。
場合によっては最終返済日まで元金と利息が残る可能性もありますので、その際は最終返済日に一括返済するのが一般的です。
とはいえ未払い利息は相当な勢いで金利が上がらないと発生しませんし、日銀がそういった政策をはたしてとるのでしょうか。疑問なところではあります。
ですので未払い利息が発生する可能性はゼロではないけれど、そう高くはないと考えるのが自然と言えます。
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3、 変動金利はこんな人に向いている
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・返済開始後も家計に余裕がある人
・借入希望期間が短い人
・金利変動を定期的に確認できる人
・将来的に収入アップが見込める方
上記の方は変動金利のリスクを低減できるので相性が良いと言えます。
逆に返済額が上昇した場合、ローンの返済ができなくなる人には向いていません。
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4、固定金利のメリット・デメリット
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メリット
①固定期間中は金利が上がらない
②返済計画が立てやすい
③未払い利息が発生しない
金利が一定期間固定される為、返済額が変わらず長いスパンでの返済計画も立てやすいのが最大のメリットです。
店頭金利が上昇していく局面に強い金利タイプといえるでしょう。
民間金融機関と住宅支援機構が提携して提供している「フラット35」が代表的です。
(住宅支援機構が定める記述基準をクリアする住宅のみ融資対象となる為、築年数が古い等の場合一度フラット35の対象物件か確認が必要です。団信の加入が必須ではない等、フラット35特有の特徴もあります。)
デメリット
①変動金利より金利が低い
②元本が減りにくい
③月々の返済額が高くなる
固定金利では変動金利よりも、借入当初の金利が高く設定されてしまいます。
ですので元本が減りにくく、月々の返済額が高くなるという特徴があります。
その分安心を買っているとも言えますね。
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5、 固定金利はこんな人に向いている
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・金利上昇の不安をなくしたい人
・将来教育費などの支出増加を見込んでいる
・ブレのない長期の返済計画を立てたい人
万が一返済額が増えると家計が破綻する、というようなご家庭は固定金利が向いています。
また、経済や金利動向にあまり関心がなく、借換えなどが面倒という方にもこちらが向いています。
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(番外編)固定金利期間選択型
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住宅ローンを一定期間だけ金利固定する「固定金利期間選択型」というものもあります。
固定期間は2年、3年、5年、10年など金融機関に応じて異なります。
10年以下の固定期間では変動金利よりも低い金利が設定されていることもありますが、一般的には固定期間が長いほど高金利となります。
固定期間終了後は自動的に変動金利に戻りますが、もう一度一定期間固定金利にすることも可能です。
注意点は「期間満了時に優遇幅がなくなる金融機関があること」「変動金利のような1.25倍ルールがなく、固定期間終了後に適用金利と返済額が大幅UPする可能性がある」点です。
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(番外編)固定金利期間選択型はこんな人に向いている
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・変動金利に抵抗がある人
・短期集中で完済できる見込みのある人
・変動型から固定型に切り替えて完済したい人
例えば人生の一定期間だけ収入が激しくなりそうということもあるでしょう(お子様の就学時期等)。その間金利上昇リスクだけでもなくしたいという場合、こちらが向いています。
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6、変動金利と固定金利のメンテナンス方法の違い
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先述の通り、金利タイプをどちらにするかと同じように「メンテナンス」も大切です。
①変動金利
金利上昇リスクを抑える対策と金利が上昇し始めた時の対策が必要です。
・金利が低いうちに繰上げ返済をして元金を減らす
繰上げ返済は金利上昇リスクを抑える有効な手段です。
例えば住宅ローン控除分を繰上げ返済に回す等がおすすめです。
・固定金利が上がり始めたら固定金利に変更する準備をする
一般的には、変動金利より固定金利の方が先に上がり始めます。
ですので、固定金利が上がり始めたら固定金利に変更する準備をしておきましょう。
準備の例
・どれくらいの期間固定するのか検討する
・金融機関に手続きの流れを確認する
・金融機関の金利差を利用した借換えも検討する
借換え手数料を払って借換えしてもメリットがある場合、借換えも検討しても良いでしょう。
②固定金利型
・家計に余力ができたら繰上げ返済で返済期間を短縮する
固定金利でも繰上げ返済は有効なメンテナンス方法です。
・金利が下がり続けるようなら借換えを検討
原則、固定金利型は変動金利に変更することができません。
ですので金利が下がっているのに高金利で返済し続けるということが起こり得ます。
これを解消するには「借換え」と「金利引き下げ交渉」です。
以下の流れで進めてみましょう。
【他行で借換え仮審査をする】→【融資を受けている金融機関で金利引き下げ交渉をする】→【交渉に成功したらそのままその金融機関、交渉に失敗したら借換え実行する】
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7、まとめ
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いかがでしたでしょうか。
住宅ローンを借りる際の何か手助けになっていれば幸いです。
変動金利、固定金利いずれも良し悪しありますので、一概にどちらが正解ということはありません。
ご家族のライフプランや市場の動向に合わせて借り、その後もメンテナンスをしていきましょう。
ネットの偏った意見に流されず、ご家族にとってどちらが最適か検討していきましょう。
それではまた次回!