コラム

あなたはまだ知らない。「囲い込み」されていることに。 〜不動産の悪質行為〜

みなさん、こんにちは。
不動産とデザイン建築の「GAUDI LAND」 ササキです。

   
さぁ、今回のコラムについてですが、あまり出くわしたくない、不動産会社の悪質極まりない行為についてです。
   

その名も、

「囲い込み。」
  
KA KO I KO MI ”  〜かこいこみ〜

なんかローマ字にすると、東京オリンピックの誘致が決定した時の、滝川○リステルさんのアレに似て来ちゃいますね(笑)


  
それは一旦置いといて。

そもそも囲い込みって知ってますか?

知ってるよ!って方、素晴らしい。詳しいですね!!

なーんて言うと思いましたか?(笑) 知ってるから大丈夫、ではないのです。

知ってても囲い込みの魔の手の中にいらっしゃる方もたくさんいるんですよ、本当に。
(知ってるのに囲い込みやられてる、、、それが一番カッコ悪いような・・・)

ちょっと口が悪くなって来たので、そろそろ本題に入ります。

   
不動産売買において、主に、自分の不動産の売却をしたいあなたに向けたコラムです。
最後まで読んで損しないご売却を!!

   
―――

= 目次 =
1.囲い込みとは? 本当にあった怖い話。
2.囲い込みが悪質とされる理由(あなたのデメリット)は?
3.囲い込みに合わないために

     


1. 不動産における囲い込みとは?

 
さて、まずは「囲い込み」とやらが何か。

よーく聞いてくださいね。

囲い込みとは、

不動産会社にあなたの売買の機会を操作されている

状態を言います。

ん?どういうこと?って思いますよね?

買いたい人がいたらその人と契約するんだから、そんな簡単に操作できるものじゃないんじゃない?って思うのは当然です。

しかし、この世の中には悪い心を持った、あなたの顔がお金にしか見えないような不動産会社や担当者がまだまだ存在するんですよ。

そしてこの「囲い込み」。売主だけじゃなく、買主に対しても迷惑極まりない、ほんとに不動産会社のエゴだけで、他の誰も得しない、悪質行為なんです。

では説明しますね。

囲い込みとは、その名の通り、不動産会社にあなたが囲い込まれている状態。
言わば、逃げ場がなく、売買の機会はその不動産会社の手中にある状態です。

では実際にお客様から伺った“実話”で囲い込みとはどんなものかをお伝えします。
最後まで目を開けておいてくださいね。。。

    
    

【本当にあった怖い話 〜囲い込み編〜】

  
親と同居して世話をするために所有しているマンションの売却を希望しているAさん。いくらでも生活を楽にするためには高く売りたいところ。まずはネットで不動産会社を検索しました。

すると検索画面には聞いたことのある不動産会社の名前がズラリ。
まずは手当たり次第に不動産査定をお願いすることにしました。

数社がこの週末に自宅の査定をしに来てくれるとのことで、とりあえずその中で不動産会社を決めることに。
  
数社の訪問による査定の結果、決めたのはS社でした。この不動産大手のS社。CMもよく見るし、相談に乗ってくれた営業マンB君はもとても印象が良く、若いのに経験も自信もある。査定額は他社よりも200〜300万円も高いので、それで売れるのか、時間がかからないか聞いてみると、「いえ、この金額なら絶対売れます」と言う。

その上で「弊社には物件を探しているお客様がたくさんいて、今にでも案内できる人もいます!ぜひあなたの大切な資産を私にお任せください!」とのことなので、専任媒介契約(一社だけに販売活動をお願いすること)を結んで、売却活動を開始しました。
  
スー◯やアット◯―ムに物件を載せるには少し時間がかかるとのことでしたが、まずは言っていた通り、B君の担当している購入希望客をすぐに案内したいと連絡がありました。さすがです。

また、その他にも同じ営業所の別の担当さんもお客様を紹介したいとのことらしく、すぐに週末の2件の内見が決まりました。
  
(これは幸先がいいな、すぐ決まりそう。会社も大きいし、その分営業も多いからたくさん案内してくれそう。)
  
そう思いましたが、高額な買い物である不動産。
さすがにそんなにうまくはいきません。
  
内見後は、検討します、や、ちょっと予算が合わないです、といった理由で申し込みには至らず。
(まぁ、これは仕方ない。これからに期待しよう!)
  
あれからちょっとして広告に掲載したし、広くみんなに知れ渡っただろうから、問い合わせが来てるかもと思って、1週間経った頃に、担当のB君に問い合わせがないか聞いてみたところ、
  
B君:「まだないですね、出したばかりなのでまだみんな気づいてないかもしれません。もうちょっと待てばきっと問い合わせが来ますよ!」
  

(まぁ、普通そんなに毎日物件情報なんか見る暇ないよね。)

   

そこからまた少しして「僕のお客様でぜひ見たいという人がいて内見アポ取れました!」とB君から連絡を受け、気づいたら1ヶ月で3件の内見。これは多いの?少ないの?

そう思いながら、2ヶ月目に突入。

  
  
(ん? ちょっと待てよ?)
(売却って、担当の不動産会社以外の他社でもお客さんを紹介してくれるって聞いたことがあるけど、今までS社の人しか会ってない、、、)
    
そう思い、
    
「私の担当はもちろんS社さんだけど、他社さんもお客さん紹介してくれるんですよね?」
とB君に質問。
    
B君:「そうです! ただ、なかなか他社さんから問い合わせがなくて。ちょっと近隣のマンションで面積は同じくらいだけど安いのがあるので、そっちと比較されてるかもしれないですね。もう少し様子みて、ダメなら価格改定も検討していきましょう。」

とのこと。
    
(あ〜そうなのか。うちは周りに比べて高いのかも。まぁ確かに価格決めるとき、これで決まったらすごい嬉しいなって思ったくらい、希望の値段だったし。)
    

そこから3ヶ月。
  
S社はお客様を連れて来てくれるけど他はさっぱり。
    
B君:「弊社の営業スタッフは、この物件がすごく価値があるのがわかるのでバンバン紹介してくれてるんですけど、他社さんはなかなか良さに気づいてくれないですね。」
    

(B君がそこまで言ってくれるなら、査定をしてくれたB君のためにも、自分で他社に売り込むしかない!!!!)
    
そう思って近所の小さな不動産会社に直接足を運んでみました。
   
応対してくれたのは社長さん? 社長さんって営業することあるの?

そんなことはどうでも良かったので、とりあえず個人情報や今までの経緯、担当してくれている会社があることや販売状況を話して、物件の良さを頑張って伝えました。
    

すると一言目に言われた言葉。一生忘れません。

    
社長さん:「まず査定額、ちょっと相場より高いですよね。担当の不動産会社、大手さんですか?
まぁ、それはそれとしても、囲い込みされてんじゃないですかね?」
    

「なんですか? その囲い込みって。そしてどうして大手ってわかんですか?」

    
社長さん:「不動産会社が売主だけじゃなく買主からも仲介手数料が欲しいがために、他社からの客付けを嫌がって、他社さんからのお客様の紹介断るんですよ」
    
え?( 両手は聞いたことあるけど、他社からの問い合わせって断れるの?)

    
社長さん:「囲い込みは禁止されてるので、大っぴらにはもちろんできないんですけど、断り方なんていくらでもありますからね〜」
    
(さらっとすごいこと言われたけど、どういうことなんだろう。)
    
社長さん:「つい最近申し込み入ったのでしばらく紹介できない」とか、「ちょっとその日程は他の案内入ってて内見難しい」とか色々あるんですよ。
    

(このご時世に、大手の有名な会社がそんなことやる? そもそもB君はそんな風には見えないし。)
    
社長さん:「私も大手にいたからわかるんですけど、大手ってチーム組まされて成績比べられるんですよね。毎月怒られるのは嫌だから、売り上げは頑張ってあげなきゃいけなくて。だからどうせ1件契約するなら片手より両手。そんで専任媒介契約が切れる前に売り切らないと一般媒介に切り替えたり、他社に鞍替えされたら仲介取れなくなるかもって思って、価格改定勧めてみたり。でもそもそも査定が高いから、改定してそれでやっと相場で売れる状況になるケースも多いんですけどね。」
     

(うぅ・・・)

     
社長さん:「レインズに登録したからってお客さんは安心できないんですよ。試しに囲い込みしてないか確認してみます?」
    
「え?(そんなことできるの?)
んじゃ、お願いします・・・」
    

数分後・・・

    
社長さん:「お客様紹介しても良いですか?って聞いたら、つい最近申し込み入ったので今は紹介できないです、って断られましたね(笑) まだこれだけではわかりませんけど。」

    
あ、そうなんですか?( 聞いてなかったけど。私の知らない間に、前に内見した人が申し込みしたのか・・・)
    
社長さん:「んじゃ今度はうちのスタッフに一般客のフリをさせて問い合わせさせてみましょうか(笑)」

    
(なんか真面目な話してるのに、この人笑っててちょっと気分悪い。)

    
さらに数分後・・・
    

社長さん:「ご案内可能です!ご都合はいつがいいですか!?今週でもご案内できますよ!ってすごく元気ハツラツに誘われましたよ(笑)ちょっと日程確認しますって濁して終わりましたけど(笑)」
    

「はい?」(は? どゆこと? まじで? B君が?)
    

社長さん:「その担当さんは良い人なんでしょうけど、結局は会社ですからね。上司指示なのか、本人の独断かは知りませんが、これじゃ決まらないですよね。そんでやっぱりこの会社ですか(笑)」
    

(確かに。てか「やっぱり」ということは有名なの?)
    

社長さん:「ちなみにあなたが一番かわいそうなのは間違いないですが、他社さんのお客様でも欲しがってた人がいるのであればその人たちも直接問い合わせしない限り買えないわけで。」
    

(それもそうだ。)
    

社長さん:「結局囲い込みしてる会社の周りはみんな損して、その会社だけ得するんですよね。大手だからそんなことしてもたくさんお客さんいて安泰だろうけど、中小の不動産会社がそれやったら目つけられて業界から除け者にされて終わりなんですよね(笑)」
    

・・・・・・

    

社長さん:「不動産会社は、共同仲介ってシステムがあるから、それなりに周りの不動産会社とも良い付き合い方しないといざという時に協力してくれないんですよ。悪評が広まったらとてもじゃないけど大手以外はやっていけないので、私はやれませんけどね。」
    

(嫌なこと知っちゃったな。
これからどうしたらいいのだろう。)

    

社長さん:「とりあえず専任が切れるのを待って解約するか、何か理由がないと解約できないので、何か思い当たらない? 報告がないとか」
    

(あ、そういえば専任だから2週間以内に1回以上は報告するとか言ってたけど。
こっちから言わないと確かに報告ないな。)
    

社長さん:「改善の余地を与えて、それでも改善されないのであれば解除できるから解除してみたらどうですか?」
    

私:「そうします!」(ありがとう!社長さん!)
    

社長さん:「でもそもそも価格高いのも原因かもしれないですからね! そりゃそれで売れたら嬉しいのはわかりますけど、自分で高いって思わないですか?」
    

私:「えぇ、思います。」(だって自分なら買わないもん。)

    
ん?
    
そういうことか。それなら誰も買わないか。
      


2. 囲い込みが悪質とされる理由(あなたのデメリット)は?


    
ほんとに怖いですね。

これ、昭和とか平成の時代の話だと思ってませんか?

紛れもなく「令和」です(笑)
そして、これは私、ササキが実際に出会ったお客様とのやりとりが原作です。
    

囲い込みとはこのように、

専任媒介を締結している会社が「自社で売主・買主の両方から仲介手数料が欲しい」から他社からの客付を断ってその物件の売買の権利を「独占」している状態

を言います。
    

こんな状態ではS社のお客様にしか売れないのは当たり前ですね。

    
そして、この囲い込みのデメリットは、先ほどの話でも出て来ましたが、
  
・売主の売却機会の損失
・買主の購入機会の損失
  
が挙げられます。

    
売却できたかもしれないのにその機会すら与えられなかったとなれば、やはり損失ですよね。これは許せないですが、もうあとの祭りです。未来にかけましょう。
購入者側に立っても、

普段物件を探してくれている不動産会社の担当さんから、その物件は申し込みが入ってると聞いて、諦めきれない人なら直接その物件を担当している不動産会社に連絡すれば買える可能性はありますが、大半の方はそこまでいかないでしょう。

  
いずれにしても得をするのはその囲い込みをしている不動産会社だけなわけで。

  
残念ですが、この時代にもまだそんなことをする会社や担当者がいます。
その担当者だけが悪人なのでは?と思う方もいるかもしれませんが、その知恵をつけたのは誰か。

きっと先輩や上司でしょう。担当者はその氷山の一角かもしれませんね。
      


3. 囲い込みに合わないために


  
さぁ、最後はその囲い込みに合わないためにどうするか。
  
事前に防ぐ方法はいくつかありますが、別のデメリットも伴います。
例えば、
  
・一般媒介を締結する
・噂がないか調べて、噂が出てきた大手は外す

  
専任ではなく一般媒介にすると売主さんの販売活動にかかる手間・手続きはとても増えます。

また、不動産会社の報告義務もなくなり、広告の効果はどれくらいあるのかはわかりませんし、自社で必ず仲介ができると決まったわけではないので、親身に考えてくれるところも減る可能性も否定できません。

噂がないか調べるのもなかなか大変です。これをやり始めるとどこを信用して良いかわからなくなります。昔はどこの大手もやっていたので噂は出てきます・・・

    
効果が高いのは、媒介契約締結後に他の不動産会社と接点を持って、その不動産会社から問い合わせてもらうことでしょう。
ただし、その不動産会社も媒介契約を締結できるわけではないのになぜそこまでしなければならないのか、と考えるのは必至でしょう。

よっぽど疑念があって確定だった場合はその不動産会社に媒介を依頼する、くらいの状態であれば取り合ってもらえるかもしれません。

    
そして、私が考える、「どこの業者にも迷惑をかけずに囲い込みをしているかどうか判断できる方法」があります。

    
あなたの知人から、その不動産会社に対して、
  
「その物件が気になるので内見したい。」
  
ということを伝え、まずは現在申し込みが入っていないか確認した上で、紹介可能か、そして直近で内見できる日時を聞いてみましょう。
    
実際に見に行く必要はもちろんありません。
そして日程が抑えられたら、次にこう切り出しましょう。
  
「ただ、この物件情報は知り合いの不動産会社さんから教えてもらっていて、時間の都合上私が今問い合わせている。なので私の購入の仲介はその会社でお願いしたい。知り合いなので内見の日程は合わせると言ってくれているので日時を決めたいです。」
  
と伝えるのです。

  
ここで囲い込みをしている会社であればどういう回答が来るか。
あなたは予想できますか?
  

おおよそ以下のような回答がきます。

「不動産のルール上、申し訳ありませんが、直接今当社にお客様がお問い合わせいただいたので、この物件を購入するのであれば当社が仲介会社になります」

もしくは、

「その不動産会社さんからの問い合わせじゃなければ受け付けられません」

となるでしょう。
おそらくこれ以外の選択肢はないでしょう。
  
囲い込みをしている会社からすればもうすでに物件は紹介可能であることを伝えていますので、申し込み中という言い訳は使えない。

でもその知り合いの不動産会社から問い合わせをさせることができれば架空の申し込みを入れる時間が作って断ることができる。

  
やることはこの2つ。

「ルール」で凌ぐか、「時間」を稼ぐ。

です。
  
囲い込みをしない善良な不動産会社であれば「もちろん大丈夫ですよー!いつにしますか?」と言われるのが一般的ですよね。

悪質な担当者は、なんとか両手に拘るのでこんなことを言ってきがちです。

  
もしも善良な担当者で、「全然大丈夫です!いつにしますか?」と言われたら、一度内見日時を決めた上で、念の為知り合いにも日時を確認するので、と、わけのわからないことを言ってアポを取らせず切り、後ほどショートメールで丁寧にお断りしましょう(笑)。
あまり時間を取らせるとかわいそうです(笑)

  
ちょっとグレーというかブラックな業界の側面を見せてしまいましたが、私の拠点であるこの仙台市でもまだまだ無くなりません。実際に弊社のお客様でもこの数年だけで、売主としても買主としても囲い込みによって機会を損失しているお客様は何人も見てきました。

囲い込みをする会社は大体限られていますし、そういう会社は業界内で大体噂になっています。
  
不動産会社は横のつながりも多いので、知ってはいるけど言えば他社を陥れる悪く見られてしまうこともあり、なかなか名指しはしづらいものです。

会社のイニシャルや、他社さんからも何社か名前を既に聞いているので、と言いやすい環境を作ってあげることで、複数の会社から情報を集め、答え合わせ(予想)するのも良いのかもしれません。
  

あまりこんな記事を書くと、囲い込みをしている会社から叩かれそうなので、そろそろやめておきますが、いくら叩かれようとも痛くもなんともありません。
  
なぜなら私は囲い込みをすることがないので、先ほどのようなスパイが囲い込みの内偵に来ても全く問題がないのです(笑)

    

この不動産業界からそういった悪質行為がなくなりますように。

ではまた!

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