光熱費節約「パッシブデザイン」とは?
- 2023.11.24
- 設計・施工・デザイン
みなさん、こんにちは。
度付きサングラスを毎年検討するも購入に至らない、設計デザイナーの佐藤幸也です。
冬至が近づいてくると、車の運転がしづらくなりますが、交通事故率が高い太陽高度は10°〜30°だそうで、冬になると夏の1.5倍も危険な時間があります。
毎日でてくる太陽ですから上手に向き合いたいものです。
建築分野でも太陽との向き合い方はとても重要で、快適性につながります。そんな自然の力を最大限に取り入れて設計する手法を「パッシブデザイン」とも呼びます。自然エネルギーにはお金がかかりませんから、無駄にしない設計をしたいものです。
特に住宅は使い勝手の視点で「間取り」にフォーカスされがちですが、間取りだけでは良いお家はできません。パッシブデザインの手法を取り入れることで「質の高い住宅」になることを解説していきます。
さて、パッシブデザインを解説していく前にお伝えしたいことがあります。
このお話は道のりがとても長く、簡単にお話できるものではありません。
パッシブデザインについて細かく説明できる設計者自体が少なく、触れてはいけない部分かもしれません。
ただ、住まいを俯瞰して考える上で避けては通れず、こだわりを持って家づくりをしていることを知っていただく機会になればと、少しずつ解説していくシリーズにしますので、「ここまで考えているの?」の内側を知りたい方は是非お付き合いください。
それでは第一弾、始めます。
= 目次 =
1.パッシブデザインとは
2.パッシブデザインの重要要素
3.夏と冬
4.まとめ
【1.パッシブデザインとは】
パッシブデザインとは、自然エネルギー(太陽の光・熱、風)を最大限に活用し、使い手が健康で快適に過ごせるよう建築設計する手法のことをいいます。
「パッシブ(Passive)」とは「受け身」や「受動的」が意味するように、機械的なものを使用して自然エネルギーを活用するアクティブ(Active)なシステムではなく、何もせずとも建築そのものによって自然エネルギーを活用することができる受け身なシステムをいいます。
簡単に言うと、電気・ガス等のエネルギーに頼らず心地よい建築空間をつくろうということが目的になります。これは、光熱費が削減できる住宅「省エネ住宅」となり、CO2削減につながります。
近年、国の方針としても省エネ・創エやCO2削減することを住宅業界で当たり前にする動きが活発になってきました。特に補助金事業として質の高い住宅を建てることで1棟に対して100万円もの補助金が毎年予算として組まれるようになりました。
※弊社株式会社ガウディランドでは、毎年住宅事業者・工事施工業者として登録を行い、仕様選定から申請手続きまでサポートさせていただいております。
先日発表された「子育てエコホーム支援事業」についても住宅事業者として登録致しますので是非お問い合わせください。
※施工エリアは宮城県全域(ショールームは仙台市になります)、福島県一部エリア(相馬市・南相馬市・福島市・郡山市)※左記に含まれないエリアにつきましては別途ご相談いただければご回答させていただきます。※補助対象事業は「注文住宅の新築」「新築分譲住宅の購入」「リフォーム」となります。その他要件ございますので対象になるかどうかも含めて弊社でサポート致しますので是非お問い合わせください。
国としても、エネルギー価格高騰の影響を受けてしまう住宅の購入は危険であると消費者に訴えるような政策になっています。つまり、パッシブデザインと世界情勢はとても密に関係していることになります。
※とてもお安く販売されている建売住宅を安易に購入してしまうことは大変危険であることがわかりますよね。
パッシブデザインの重要性がおわかりになっていただけましたでしょうか。
次に、パッシブデザインとはどのような要素が重要になるのかを解説していきます。
パッシブデザインが重要であることはわかるけど、どんな要素を考えていくべきかをここでは解説します。まずは、どのような住宅になればパッシブデザインとなるのかを完結にいきます。
「夏涼しく、冬暖かく、明るいお家」
このお家にするために重要な要素が「断熱・気密・採光・日射遮蔽・通風・蓄熱」です。
ここが肝(キモ)になりますが、それぞれの要素は夏と冬で対立することがあります。例を挙げると、「夏は日差しをカットしたいけど、冬は日差しを取り入れたい」簡単に考えると矛盾していますよね、この対立している部分を解消していくことがパッシブデザインの肝になります。
さらに、お家を建てるということは敷地条件があり、住まい手の生活があるわけで、これらを掛け合わせて最適解を見つけていくことが設計者に課せられたパッシブデザインとなるわけです。
敷地条件とは、その土地に対する道路位置・幅員・高低差、隣地との高低差、隣地建物位置・サイズ・窓位置、用途地域からの将来予想等が挙げられます。これらにより太陽光の入り方、風の抜け方も変わり、その条件をクリアしても歩行者からの目線や隣地からの目線が気になる結果になってしまう等、周辺環境を整理することが重要になります。
SNSでよく出てくる「人気の間取り5選」をそのまま真似してはいけないということです。
今回は重要要素を掘り下げず、四季がある日本でどのような工夫が必要になるのか、夏と冬にわけてパッシブデザインの考え方をご説明します。
・夏のパッシブデザイン
夏は涼しくということは、太陽光の日射をなるべく室内へ取り込まないこと、また暑い空気を逃がすことや朝晩の通風がポイントになります。
まず、日射を室内へ取り込まないようにするために「日射遮蔽」が必要です。
日射遮蔽の代表的な例は窓から入る日射を防ぐことで、これは窓の上に庇を設けることや、屋根の軒の出を大きくすることで日射量を減らすことができます。その他にも外付けのルーバー・ブラインドや植栽を設けることで夏は葉で日射量が減り、冬は葉が落ち日射量が取れるといった工夫も挙げられます。窓ガラスは断熱効果が低いことから窓まわりの工夫から始めたいところです。
窓以外にも日射は建物全体から侵入してきます。そのため、屋根や外壁にあたる日射量を減らすことやはじく(反射する)こと、侵入してくる熱量を減らすために断熱効果を上げることが重要です。屋根や外壁にはそれぞれたくさんの種類の素材がありますが、日射に対する反射率や放射率が取り込まれる熱量に大きく左右され、さらに内側にある断熱材の仕様を熱伝導率が低いものを選ぶことで建物内部へ侵入してくる熱量を下げることにつながります。
ここで、2階建て戸建住宅はなぜ2階のほうが暑いのかご説明します。まず、暖かい空気は冷たい空気に比べて軽い性質があるため、自然と2階へ押し上げられます。さらに、2階はすぐ上に屋根があり日射による熱量の影響を受けるため2階が温まりやすい環境になってしまうわけです。
このことから2階リビングや平屋を検討している方は特に対策が必要であることがお分かりいただけますよね。
そんな日射による熱量を逃がす役割をもち、朝晩の低温の風で涼感を感じることができる仕組みが「通風」です。
これには下調べが必要になり、地域での風の吹き方を知ることから始まり、土地周辺の地形や建物状況を把握することで通風の設計が始まります。
ここで注意したいことが、日中の外気温が高い時間帯に通風をすることはNGだということです。高気密高断熱住宅では高い外気温を取り入れてしまうと熱を逃がしにくくなるので、日中窓を開けることは逆効果になります。また、暖かい空気が2階に溜まりやすいことから、風を取り入れる給気側の窓は1階、風を抜く排気側の窓を2階にとるように通風の設計をすることがポイントになります。
・冬のパッシブデザイン
冬暖かくということは、温めた熱を建物から外に逃さないようにすることがポイントになります。
多くの「日射(採光)」を採り入れ、温めた熱を「蓄熱」し、熱を逃さないよう「断熱」し、隙間を無くし「気密」性能を高めることで保温効果を上げることが必要な要素となります。
冬の太陽高度は低く、南面の採光時間が一番多いことから南の窓を大きくとることが「日射」を最大限取得するためには必要です。
夏は太陽高度が高いことから庇や軒の出が機能しますが、冬は高度が低いため庇や軒の出の影響が少なくなることがポイントです。
そして折角採り入れた日射による熱量を蓄えて、気温が下がった夕暮れから夜間にかけて放熱していくような「蓄熱」効果があると冬場は省エネ性が上がります。蓄熱ですから熱を蓄えておくモノが必要になります。建材でいうとコンクリートや石材(タイル材も含む)、しっくいやプラスターボード等が効果が発揮される素材になります。
例えば床下に断熱材を設けるのではなく、基礎断熱とすると床下空間をコンクリートの蓄熱体として捉えることもできますし、リビングの南面に土間コンクリート仕上を採用することも効果的です。リビングには〜というご意見がありそうなので補足ですが、南玄関で土間を続けてリビング空間と一体化させることも玄関が寒くなるデメリットを補いながら蓄熱効果も期待できるなんて間取りもありですね。
ここまで、パッシブデザインについて入門的な部分を解説してきました。
今回お伝えしたかったことは「夏涼しく、冬暖かく、明るいお家」を機械に頼らずにつくる設計手法がパッシブデザインだということです。
これは省エネ住宅をつくることになり、光熱費も削減できる、国も住まい手もハッピーなお家。
続編からそれぞれ重要な要素について解説していきますのでお楽しみに!
また後ほど。
弊社、株式会社ガウディランドでは、宮城県や福島県の一部地域を施工エリアとしており、
得意としていることは、お住まい探し、不動産売買・仲介、リノベーションや新築住宅の設計・デザイン・施工、家具・インテリア・雑貨提案などなど。
この度、話題沸騰中のサウナの導入もはじめ「自宅にサウナがある暮らし」まで実現できるようになりました。
まずは些細なことでもご相談ください。
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