不動産の売却金額、どう決める? 査定額は信じていいの?
- 2023.02.27
- 不動産売買
お家を持っているあなた、「この家、今売ったらいくらなんだろ?」と一度は思ったことはないですか?
こんにちは、仙台市の中古リノベとデザイン新築(casaの家)のお店「GAUDI LAND(ガウディランド)」のササキです。
おうちを買ったばかりの人も1年経って住宅ローンが全然減っていないことに愕然として、今もし売るってなったら住宅ローンを返せないじゃん、、、と思われる方も多いはずです。他にももう20年住んでるけど子供たちも巣立って、こんな広い家いらないから売って程よい大きさのところに住み替えたい、転勤で手放さなければ、なんてこともよく聞く話です。
いくらで売れるかとなれば当然やることは「査定」ですよね?今回はその「査定」の仕組みを学びましょう。仕組みや査定額についての理解が深まると売却する際、適正な「価格」、適正な「期間」で売却できるようになるでしょう。決して査定をお願いした不動産会社の提案を一から信用して完全にお任せしてはいけませんよ。
= 目次 =
1.そもそも査定って何?
2.査定額の算出方法
3.不動産会社の査定額には違いがある?
1.そもそも査定って何?
自宅を売却しよう、買い換えようと検討する際に「いくらなら売れるのか」「売却できそうな金額」が必要となりますが、これを算出してもらうことが「不動産査定」です。
車なども「◯ッグモーター」や「ガリ◯―」なんてところで買取査定をしてもらったりした経験もあるのでは?
不動産業界でもこの査定は昔からあって、最近では不動産も車も「一括査定」という、登録された複数の会社が一斉に情報を送付することで、個々に査定をお願いする手間が省けて、会社を選ぶ際の参考にするサービスも多くなっています。
ただここで注意したいのは「査定額」の意味。実際に売ろうとする際に広告に掲載する金額ではありません。「買取」査定であればその金額で売買が決定しますが、不動産は個人の方へ売った方が高く売れるため、SUUMOやアットホーム、ホームズといった不動産情報サイトへあなたの物件情報を掲載して個人の方からの問い合わせを待つ売却方法が一般的で大多数です。
となった時に売却する価格は誰がどう決めるのか。それは不動産会社でもなく物件を所有している「あなた」です。あなたが不動産会社からの査定額を参考にして「売出価格」を決めなければなりません。この参考材料、それが「査定額」です。
不動産の査定はあくまで「売れそうな金額」であり、「売れる金額」や「買い取ってもらえる金額」を約束するものではありません。購入を保証して欲しい、すぐ買って欲しい場合は「買取査定」をお願いしましょう。
2.不動産の査定額の算出方法
次に査定額の算出方法です。実はあまり一般の方には知られていませんが、大きく分けて3つの方法があります。
・取引事例比較法
あなたの不動産と近似・類似する物件の成約事例(実際に売買に至った案件)を探して、売買が成立した時期や立地条件、その他に物件独自の特徴などを比較して価格を査定する方法。
・原価法
その建物を現時点で再度新築した場合の価格を算出して、築年数に応じた減価修正を行なって価格を求める方法。
・収益還元法
賃貸用不動産(貸家)などが将来生み出すと期待される収益から価格を割り出す方法。1年間の収益を利回り(還元利回り)で割る「直接還元法」と一定の投資期間から得られる収益と一定期間後の物件価格を予測して合計する「D C F法」の二種類。
なんだかややこしいと感じますが、住宅を売りたいあなたが知っておくべきは上の2つ。この2つで査定されることがほどんどです。特に今回は「取引事例比較法」が有名なので、これを理解しましょう。
まずはあなたの物件と「立地」「広さ」「間取り」「築年数」などの条件が似た成約事例を探すことから始まります。具体的には駅からの徒歩◯分といった距離や面積、◯LDKなどといった間取りのことですね。そしてこれを点数化して評価するのがこの方法です。マンションなどでは角部屋、中部屋の区別や○階建ての△階、などの階層も重要です。
そのあとは計算式に当てはめて査定額を算出するのですが、これについてはさらっと流す程度で大丈夫です。
「事例物件の平米単価×(査定物件の評点÷事例物件の評点)×査定物件の面積×流通比率」
これで「≒査定額」となります。ちなみに流通比率とは、標準的な物件を1.00として、売りやすいポイントや特徴がある場合はプラス、売りにくいポイントがあればマイナスとなります。一般家庭と比較して広すぎる物件は一部の人にしか需要がないのでマイナス、人気エリアにも関わらず近くに販売中の物件がない場合はプラス、といった感じですね。
仮にあなたの物件(ここでは例としてマンションに設定)で試算してみましょう。
あなたの物件:面積70㎡、評点110点
比較する物件:面積72㎡、成約価格3,000万円、平米単価41.6万円、評点105点
(評点部分の考え方として、今回はあなたの物件の方が少し階層や立地などで評価が高いと考えます)
査定価格 ≒ 「41.6万円×(110点÷105点)×70㎡×1.00(流通比率) ≒ 3,048万円
今回のケースでは面積は事例よりも小さいにも関わらず、プラスポイントが効いて高く出ました。
ただ、これはあくまで参考値です。事例から考えるとこの金額が成約価格として妥当ということですね。
では最後に査定額の違いについて説明しましょう。上記の算出方法であればどの不動産会社でも同じような査定額が出るのでは?と思った方も多いことでしょう。
今回ご紹介した算出方法は、不動産流通推進センターという公益財団法人が定めた「価格査定マニュアル」であって、これを利用している場合が多いということ。そしてこのマニュアルは不動産会社向けに作られた査定ソフトに組み込まれているのですが、大手の不動産会社などは独自のマニュアル(査定方法)を採用していたりすることも。ただし最終的には査定を担当する人が「比較対象となる物件をどう選ぶか」次第なんです。
例えば近隣の類似物件と言っても類似しているかどうかは担当者の感覚にも違いがあり、それが算出する際に違いとして査定額が変わってしまいます。
また、実際には「不動産会社の事情」や「方針」でも違いが出ます。特に最近では一括査定という便利なサービスの普及に伴い、不動産会社同士の競合が激化し、「できるだけ高く売りたい」という依頼者の心理を利用して高めの査定額を提示して期待を持たせることで自社の印象をよく見せようとする業者も増えています。
ただし高めの査定額かどうかはその時点での市況(市場の取引動向)にもよりますし、他と比べる必要もあるのかもしれません。ここでポイントとなるのは、根拠を明確に説明できているか、です。
ただただ分厚い査定書やマーケット調査のグラフなどがたくさんあって、あたかも正確な金額であるかに見せかけて、数字を操作している会社も多く見受けられます。少なくとも複数の会社で査定をお願いした場合は一番高い会社には要注意です。資料の他に自社や自分の実績や経験ではなく、しっかり市況が取り入れられているのか、確認が必要です。
高く売り出すことは決して悪いことではありませんが、競合相手となる近隣の物件状況や、過去事例からの相場を無視しては、本来売れるはずのものも売れないのです。売却までの期間の長期化にもつながります。事情があってその金額以上でなければ売ることができない場合以外は、むやみに大きな利益を期待して高値で市場に出しても、購入者はいつまでも現れません。
あなたがモノを買うときに、近くのお店には売ってないけど、相場よりはるかに高い場合、無理をして買いますか?
仮にあなたが購入者として物件を探している場合、その金額でその物件を本気で買おうと思えるか、これが大きな判断基準になることでしょう。都合のよい偏った見方ではなく、冷静に、客観的に自分の物件を評価できるかがポイントです。
まして購入者側は、不動産という高額な物件ですから、当然に慎重になるのではないでしょうか?
購入者の目はシビアです。いくらあなたが価値を感じていても、違う価値観を持った購入者は独自の基準で「コスパ」を考えるのは必須でしょう。自分本位の視点よりも購入者側の視点で考えることで売却は成功へ近づきます。
いかがでしたでしょうか?
査定の仕組みや不動産会社の考え方も少しわかると「査定額」というものがどんなものか、いくらか理解できたのではないでしょうか?
購入も売却も人生に何度もありません。
残念ながら不動産会社は売れなくても責任を取ってくれるわけではありませんので、会社選びもそうですが、査定額を参考にした「売出価格」は自分で責任を持って決めましょう。
ではまた!